日記

時事ネタやいろいろなことを気ままに書くかもです

ふと気付けば斑鳩はどことも知れない暗闇の中に一人で立っていた。

15/06/29(月)21:49:40 No.299270666 del 22:42頃消えます
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ふと気付けば斑鳩はどことも知れない暗闇の中に一人で立っていた。
声を張り上げても誰からの返事もなく、歩けども闇の果ては見えない。
焦燥が斑鳩の心を包み始めた頃、出し抜けに背後から声をかけられた。
「こんな所で何をしているんだ?」
覚えのある響きに振り向くと、そこには義兄の村雨の姿があった。
思わず上げそうになった安堵の声を喉の奥に押し込め、凛とした表情を作って兄の元へ歩み寄る。
だが兄は斑鳩に興味が無いかのように踵を返し、そのまますたすたとどこかへ歩き始めた。
「ま、待って下さい」追い縋ろうとするが、不思議な事に兄との距離が縮まらない。
必死に走っても二人の間は開く一方で、今や暗闇に浮かぶ兄の白い背は、小指の先ほどの大きさになっていた。

15/06/29(月)21:49:58 No.299270727 del

「待って下さいお兄様!」
いつもこうだ。駆けながら斑鳩の胸中に感情が淀んでいく。
いつも兄は私を置いていく。そして、私の手をすり抜けていく。
財閥の為に養子となり、忍として生きる日々を送る中で、幼い斑鳩の心の支えは兄の存在だった。
兄の笑顔と愛情は、斑鳩の両肩にのしかかる重圧をどれだけ和らげたことだろう。
二人に血の繋がりは無かったが、そんな事は瑣末に思えるほど、兄弟は仲睦まじかった。
とはいえ、村雨の愛情は家族に対するそれであったようで、斑鳩には兄以上の愛情を示すことはなかったのだが。
それでもいつしか斑鳩の心の中には、兄への敬愛よりも恋慕の情が占めるようになっていた。
忍になる事も、同じく忍者を目指す兄の傍らに居たいがための理由に取って代わった。
自身が飛燕を握る事になり、兄が後継の座を簒奪せんと我が身を狙ってきた時、斑鳩は愕然とした。

15/06/29(月)21:50:15 No.299270788 del

だが一方で奇妙な充足感も覚えていた。
飛燕の所有者であるかぎり、兄は私を見ていてくれる。
斑鳩の実力をもってすれば、二度と起き上がれぬ程に兄の心を挫くことも出来たが、それはしなかった。
兄に屈辱を与え、何度も己を狙うよう仕向けていた。兄の関心を繋ぎ留めるために。
そして、それも長くは続かなかった。確執の末、兄は飛燕の奪還を諦めてしまったのだ。
あまつさえ義妹へ忍になる夢を託し、自分は財閥の跡取りに収まる事に甘んじた。
兄の目は、兄自身の人生と、化け物じみた巨大な権力の座へと向いた。斑鳩に向こうはずもない。
これでは一体、自分は。自分は、何のために忍になったのだろう。
もはや兄の姿も黒く溶けた暗闇に向かって、斑鳩は叫んだ。
お兄様、私を置いて行かないで―――

15/06/29(月)21:50:30 No.299270830 del

斑鳩は自分の声で夢から覚めた。
いつの間にか自室のソファの上で眠りこけてしまったらしい。
馬鹿な夢を見た。思わず心が沈む。
夢の中で叫んだせいか、じっとりと首筋が汗ばみ、喉がからからに乾いていた。
水を、と自室を出たところで、村雨とばったり鉢合わせした。
先ほど見た映像が頭をちらつき、どんな顔を繕えばいいのか分からず、俯いて苦慮していると、
「お前を置いて行くことはないぞ」頭上から声がした。
顔を上げると、村雨が困ったような顔で目を逸らしていた。頬が紅潮している。

15/06/29(月)21:50:46 No.299270886 del

村雨は小さな咳払いをひとつして、そのだな、と更に続ける。
「忍として生きることは、その、死の淵に立ち続けることだ。俺は、斑鳩が死ぬのが何より怖い」
意を決したように村雨の目が斑鳩を見た。
「だから約束してくれ斑鳩。俺を置いて行かないでくれ。兄としてじゃない。一人の男としての頼みだ」
しばらく斑鳩はぽかんとした顔で立っていた。
やがてその目尻から涙がぽろぽろと溢れ、おにいさまと小さく呟いて村雨の胸に飛び込んだ。
胸元で震える黒髪を撫でながら、「さて、どう両親に説明したものかな」と村雨は笑った。

http://img.2chan.net/b/res/299270666.htm

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  1. 2015/06/29(月) 22:41:01|
  2. ふたば
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